軍艦島アーカイブス

Loading icon

軍艦島アーカイブス 第6話

6

軍艦島のインフラ

軍艦島アーカイブス第6話ムービー:軍艦島のインフラ

第6話「軍艦島のインフラ」


軍艦島は、周囲を海に囲まれた、資源に乏しい岩礁から人の手で築き上げられた人工島だ。そこに多くの人々が生活し、日本の近代化を支える重要な産業を維持していくためには、様々なインフラ整備が不可欠だった。軍艦島では、限られた土地や資源、そして厳しい自然環境を克服するために、当時の最先端技術を駆使し、独自の工夫を凝らしたインフラが構築された。

水 – 生命線を守るための挑戦

軍艦島にとって、真水の確保は最重要課題だった。周囲は海水に囲まれ、島内には水源となる河川や湖は存在しない。明治二十四年以来、石炭を燃料とした蒸留水によって飲料水を確保していたが、その量は限られており、島民は常に水不足に悩まされていた。昭和七年からは給水船が就航したが、海が荒れると欠航となり、水不足は深刻化した。島民は水の使用を厳しく制限され、共同体意識を高めながら、貴重な水を分け合って生活していた。その後、待望の海底水道が完成し、軍艦島の生活は大きく変わった。水不足の解消は、生活の質を向上させるだけでなく、水洗トイレの普及や各戸への水道設備など、住環境の向上にも大きく貢献した。

下水道 – 衛生的な環境の確保

人口が密集する軍艦島では、下水処理も重要な課題だった。当初は、海水を利用した汚水処理システムが採用されていたが、後に海底水道の完成に伴い、下水浄化槽が整備され、より衛生的な環境が実現した。

交通 – 島内と外界を結ぶ動脈

島内交通は、狭い島内では徒歩での移動が基本だったが、一部には階段や連絡橋が整備され、立体的な移動を可能にしていた。外界との接続は、軍艦島と外界を結ぶ唯一の交通手段は船だった。ドルフィン桟橋が建設され、定期船が運航され、人や物資の輸送を支えていた。しかし、台風などの影響を受けやすく、度々被害を受けていた。

建築技術 – 厳しい環境に耐える工夫

建物は、耐久性が高い鉄筋コンクリート造が主流となった。特に、初期に建設された「日給社宅」は、日本の近代集合住宅の先駆けとして、建築史的にも重要な建造物だ。台風による高潮被害を防ぐため、建物の基礎を高くしたり、防潮堤を築くなどの対策が講じられた。しかし、完全に防ぐことは難しく、度々被害を受けていた。海に囲まれた環境では、塩害対策も重要だった。建物の外壁や鉄骨は、塩害に強い材料が使用された。しかしそれでも完全に防ぐことは難しく、定期的なメンテナンスが必要だった。

軍艦島のインフラ – 課題と教訓

軍艦島のインフラは、当時の最先端技術と、島民の創意工夫によって支えられていた。しかし、海に囲まれた厳しい環境の中で、インフラの維持には膨大なコストと労力がかかった。閉山後、インフラは放棄され、建物は風化が進み、かつての繁栄を偲ぶのみとなっている。軍艦島の歴史は、資源の有限性、環境問題の重要性、そしてインフラ維持の大切さを教えてくれる。限られた資源を有効活用し、自然と共生しながら持続可能な社会を築いていくことの重要性を、軍艦島は静かに語りかけている。

軍艦島アーカイブス Blu-ray化プロジェクト

軍艦島アーカイブス Blu-ray 販売中